WEBデザイナーはピンキリの幅がひどいという話
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一口に『WEBデザイナー』といっても、習得しているスキルには個人差があります。
どのくらい差があるのかを例えるなら『ハイブランドの服飾デザイナー』と『ミシンを使ったことがある人』くらい差があると言ったらわかりやすいでしょうか?
ということでこの記事には具体的にどんなWEBデザイナーがいるのか解説していきます。
普通に解説しても面白くないので、少しユーモアを交えて解説していきたいと思います。
基本的に僕が見てきた人たちをモデルにしているのでWEBデザイナーの中には実際にこんな人たちもいるんだと思っていただいて差し支えはないのですが、『この年代の人は全員そうだ』みたいな認識をすることは間違いですので、その点をご留意してお読みください。
エントリーNo1.まだまだ現役。HTMLなら任せてよ!さん
インターネット黎明期から活躍していたWEBデザイナー。
時は世紀末。日本はバブルがはじけて混ざり、ツギハギだらけの信用の中。
じきにリーマン的なショックが訪れる事も知らずに皆が労働に勤しんでいた時代。
そんな時代から現場でホームページビルダーや、iモードや、Flashなんかに慣れ親しんだであろうWEBデザイナーだ。
特徴
特徴は、なんと言ってもWEBデザイナー歴がもの凄く長いことだろう。
”WEBサイトはこういうもの”という確固たる意思を持っている。
当時の知識なら誰にも負けない!気持ちはあの頃のままだ。
デザインスキル
ミニマムなデザインが得意でおよそ1024px前後のカンバスで全てを描き切ろうとする猛者だ。
フォントサイズ小さめ。基本的にテーブルレイアウトや四角いデザインを行いがち。
とにかく決まった形のデザインじゃなきゃダメなの!角をもっとちょうだいっ!
ユーザビリティ?何それおいしいの?
コーディングスキル
divで囲めばいいんだ。divの中にdivがあって、divがあってdivがあって・・・これでよし!
だからdivはfloatすればいいんだよっ!ここも!ここも!ここもっ!!!
えっ?高さがなくなる?いいじゃん。
大丈夫。何度でも書くよ。キミのためなら。同じCSS。
え?会社概要はテーブルで作るよね?
divとfloatがあれば何でもできる!(白目)
総評と生息地
これは結婚や妊娠などで一旦現場から離れた人が、非正規雇用(パートや派遣など)でWEBデザイナーとして復帰した人に多いようなスキル像です。
ク◯ウドワークスの低予算帯なんかにも割といそうなイメージですね。
キャリア上、仕方がないといえば仕方がないのですが、本人の中で情報が2000年前後〜良くても2010年くらいで止まっているのでしょうね。
わかりやすく表現するために少し極端な例を用いましたが、要するに小ディスプレイのデザインに慣れていて1990年後期〜くらいのHTMLとCSSに慣れ親しんだ方ですね。
全盛期に習得したスキルのまま、新しくできた要素や常識などがあまり更新されていないのでとにかく知らないことが多いイメージです。
しかし、そもそも彼女たちの主戦場は家庭なわけですからこれはこれでいいのです。
エントリーNo2.私デザイン作れるよ!さん
チラシやパンフレットなど、主に紙媒体のデザインを主戦場としてきたWEBデザイナー。
Adobe IllustratorやPhotoshopなど、画像編集ソフトの操作が堪能で発想も柔軟なイメージ。
グラフィックデザイナーの需要は年々減少している昨今では、やはりWEBの分野にも手を出していかないと食っていけない。
背に腹は変えられん。
特徴
商材にもよるが紙媒体は自由な発送が求められる現場だ。そのため、デザインスキルは比較的高いイメージがある。
『でもマークアップのルールとか、何ができて何ができないのかとか、どういうUIが必要なのかとか、正直難しいことはわかんないよね。』というのが彼ら彼女らの本音だ。
とりあえずいい感じのデザイン作ればいいんでしょ?
デザインスキル
自由な発送が求められる現場を主戦場としてきただけあって、デザインのバランス力には長けている。使えるものも使えないものも関係なくいろんなフォントを使いがち。
難しいことはわかんないけど、もっと自由にデザインしたいっ!
コーディングスキル
できない。わかんない。
HTMLとかCSSとか勉強しなきゃと思っている。
でもどっから勉強したらいいんだろ。。
休みたい。
総評と生息地
グラフィックデザイナーとしてのキャリアが長く、現在は制作会社でWEBデザイナーとしてデザインセクションのみを担当している20代後半〜30代後半の人に多くいそうなスキル像です。
『DTP(紙媒体のこと)を経験している人はデザインスキルが高い傾向がある』と、まことしやかに言われていますが、真実はさておき、デザイナー業は好きで始めた人が多いでしょうから『好きこそ物の上手なれ』ということなのでしょうね。
グラフィックデザイナー上がりのデザイナーは、実は割とたくさんいます。
こういうデザイナーの在籍傾向で多いのは、おそらく分業制で回している低〜中の下の価格帯の会社といったところでしょうか。
こういった人はポテンシャルは高いので、そのスキルをちゃんとコントロールできるWEBディレクターがいれば正しく機能します。
WEBデザインは、伝えるべき情報の本質と構文はもちろんのこと、容量のコントロールやコーディングのコスト、はたまた今後の運用面など、様々なことを鑑みてデザインしなければいけません。
デザインスキルが高くても無知では力に成りえません。
WEBデザインはそういう分野なのです。普通にもったいないですね。
エントリーNo3.普通のWEBデザイナーさん
特徴
デザイン作れるよ。静的コーディングならできるよ。
いたって普通のWEBデザイナー。
デザインスキル
Adobe IllustratorやPhotoshopなどでデザインを作れる。
コーディングのコストや構文を意識するとあんまり突飛なデザインは避けたいなー。
でもいつもと違うデザインにも挑戦したいなー。
論理的。
コーディングスキル
普通にHTML5とCSS3を習得している。
ワードプレスはまだ勉強中だから得意じゃないけど、時間をくれればなんとか完成させることができるかも。
でも今回はやっぱ忙しいしフロントエンドエンジニアに任せようかな。
総評と生息地
現在成長中。割とどこにでもいそうなWEBデザイナーのスキル像です。
年は20代前半〜くらいですかね。
なんか全体的にうす味になっちまった。
エントリーNo4.バレていないつもりさん
実力?実績?バレなきゃ大丈夫っしょ。
経歴詐称なWEBデザイナー。
最初に
今から紹介するWEBデザイナーは、僕が業務委託で一時的にとある会社に常駐していた時に『これはひどい』と感じたWEBデザイナーの話です。
この人を仮に”Liar”とし、『L』と呼びます。
これまでは具体的な表現をさけてユーモラスに書いてきましたが、この章は少し毛色が違う表現になりますので、不快に感じられる方は他の記事をご覧ください。
特徴
本人が言うにはWEBデザイナーのキャリアはおよそ4年らしい。
ちなみに僕の体感だと1年に満たないくらいのレベルだと感じた。
例えるなら履歴書に書いても書かなくても合否に影響しない資格や趣味のようなレベル。
いやもしかしたら、限界まで薄い4年を過ごしたらそうなるのかもしれない。
試したことないけど。
難しいことや新しいことが嫌い。勉強も嫌い。楽がしたい。プライド高め。
WEBデザイナーを続けたいわけじゃないらしい。
デザインスキル
デザインは常時盗用がデフォルト。丸パクリ。
Lが入社後、はじめて作ったデザインを見せてもらったが、それは本当にひどいものだった。
どう見ても素人が作ったような完成度で、とにかく”もっさり”していて、新人が作る時にありがちな、何も考えられず作られたものだとすぐにわかった。
それを見た営業担当が絶句し、社内が少しざわついた。
そこからデザインは常時盗用がLのデフォルトになったのだ。
おそらく経歴詐称バレを焦ったのだろう。
デザインの盗用は言うまでもなく、リスクが非常に高い行為だ。
制作会社だけじゃなく、納品先の企業のコンプライアンスに抵触することになるだろうし、信用を失うのは納品先の企業だ。そうなった時に当然責任を追及される制作会社は、一体どのような責任の取り方をするのだろうか?
少し興味が湧くが、どちらにせよ非常にめんどうな事態になるだろうことは断言できる。
コーディングスキル
マークアップ?何それ?divじゃダメなの?
パンくずいる?
とにかく楽がしたい。
総評と生息地
おそらく当時、管理者の整備が整っていないタイミングがLに幸いしたこともあり、面接でうまくごまかせてしまったのだろう、と推察します。
WEB業界にはサイトを作る以外にも様々な種類の仕事があるのをご存知でしょうか?
例えばECサイトの運用管理・リスティングのレポート・自社サイトの修正・記事投稿などですが、これらは一般的な事務仕事とさして変わりません。
聞くところによるとLは、上記のような業務を主にやっていたのだとか。
それをWEBデザイナー歴4年と言える度胸に脱帽です。
僕から見ると、ひどく短絡的で破滅的で何も考えていないだけなのか、正直こういう人の考えることは最後までよくわかりませんでした。
本項には関係ありませんが、採用担当の方の”とんでもばなし”とか聞いてみたいですよね。
エントリーNo5.趣味はスキルビルドさん
知識の更新とスキル磨きが趣味の一環。良い仕事をすることが繁栄の鍵なWEBデザイナー。
企画など上流から納品までワンストップで仕事を受けられるフリーランスは僕みたいなスキル像の人なんじゃないかと思います。
今日から動画スキルを強化してくで。
特徴
スキルビルドの鬼。信用を過信せず、確実性を好む。
デザインスキル
大事なのは戦略だ。
そういう意味ではデザインはね、デザインする前に既に完成しているのだよ。
コーディングスキル
心配するな。奴(ワードプレス)のことは誰よりもわかっているつもりだ。
CSSだって効率面と継続的な運用面を考慮したSCSSで作ってある。
でもRuby系のフレームワークには自信がないんだ。だって使ったことがない。
Laravelならわかる。php系のフレームワークなら多分できるはずだ。
総評と生息地
まぁこのモデルは僕ですね。
スキルなどはおちゃらけて書きましたが正直そこらへんの制作会社よりは断然高いレベルのものを高コスパで提供できるでしょう。
というのも、WEBサイトの制作とか、スキルと知識さえあれば一人でも作れるサービスって結局一人でやるのが一番安定してお客さんとWINWINな関係が築けると思うんです。
だってお客さんは得をしたいんです。そして損だけはしたくないと考えている。
その理屈でいくと数十万〜のお金を払って中が見えない箱に手をつっこんで何が出るかわからないようなゲームを好みはしないですよね。
今の日本において組織の掲げる演出上の信用なんて明日にもなくなるかもしれないので、その証拠にこの業界ではフリーランスがどんどん加速しています。
まとめ
スキル別に5種類のWEBデザイナーを紹介してきました。
みんな『WEBデザイナー』と名乗っているのに、できることにこんなにも差があるなんて普通は思いませんよね。
原因はやはり業界内の経営の体質にあるのだと思います。自転車操業になりやすいサイト制作業界では、人件費は安い方へ安い方へと傾きがちなのです。
エントリーNo1のような人は、クラウドサービスの低価格帯などに手を出さなければ、そうそう出会うことはないでしょう。
おそらくエントリーNo2とNo3あたりが制作会社では一番多いのではというイメージです。
No4は他にはいないと信じたいです。
分業制でやってきたWEBデザイナーは、自分が経験したことがないことを実務でこなせる能力は持っていません。
こういった人は、制作会社に属さない場合は、クラウドの仕事仲介サービスなどで下流から仕事を請け負う傾向にあるようです。
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