ウェブデザイナー
TAKAGI KUNIO

業務の細分化がWEBデザイナーに与える影響

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役割分担を強要する美人

WEB業界では、インターネット黎明期から昨今にかけて大規模なプロジェクトが発足すると共に分業制が定着していき、業務の細分化が進んできました。

仕事範囲が変わればそれをやる人のスキルもまた変動するのが世の常ということで、この記事では、昨今のWEBデザイナーがカバーしている仕事範囲と保有スキルの変動について解説していきます。

WEBデザイナーの定義

WEBデザイナーの男性

WEBデザイナーは、その名の通りWEBサイトを設計する者です。

WEBサイトには例外なく目的があります。

アート作品が作品に込めたテーマを表現するためにデザインされるように、WEBサイトは事業のPR、ひいては(※1)CVという目的のために作られます。

つまり、そういったプロジェクトに課せられた目的を達成するための設計をする専門家がWEBデザイナーと言えるでしょう。

※1 Conversion(コンバージョン)見込み顧客に目標とする行動を起こさせること。上記の場面では求職者にコーダーへの応募を完了させること。

WEBデザインにおける分業

制作フローチャート

サイト制作の工程は、大きく分けて「プランニング」「デザイン」「コーディング」の3つのセクションに分けられます。

WEBディレクターがプロジェクトの目的などを定めるプランニングを行い、WEBデザイナーがデザインを作成します。コーディングをコーダーやフロントエンドエンジニアが担当します。

分業についての詳しい解説はコチラ

具体的な影響

考える女性

ではさっそく具体的な影響を解説していきます。

ただ1つ誤解してほしくないのは、能力には個人差がありますので、『全員が絶対こうなる。』というわけではありません。

どんな仕事でも最初から精度の高い仕事ができる人は少数で、多くの人が実務でのトライ&エラーで物事の本質を理解し、仕事の精度を高めていくものです。特にWEBデザイナーは実践での修練がものを言う職業なのです。

その上で、プロジェクトのスタート段階から企画に加われる機会がある場合と、ない場合とではどのような差が生まれやすいのかを考えてみてください。

本質の喪失

頭から大事なことが抜け落ちている様子

デザインだけに取り組むということは、プランニングを行う(目的達成のために何が必要なのかを考える)という行為のほとんどを人に委ねるということです。

そしてそれは、考える範囲が”デザインすること”に限定されることを意味します。

結果的に、目的に対して何が必要なのか考えないままデザインを進めることとなり、「伝えるべき順番・面積・ユーザーインターフェース・視認率」など、デザインワークの際に最も考えるべきポイントを考えることなく、与えられたワイヤーフレームに何となく見てくれのいいデザインをつけることに終始してしまうため、本質を欠いたままのデザインワークが本人の当たり前となってしまうのです。

構文がわからないことによる伝えるためのデザインの喪失

アート

分業のおかげでコーディングができなくてもWEBデザイナーとして在籍できる環境ができたおかげで、コードを打てないデザイナーが構文無視のデザインを作るケースが増えました。

WEBデザインは常に伝えるべき物事の本質と構文を意識して作られていなければなりません。

HTML5にはマークアップという構文のルールがあり、デザインワークの際にそれを意識することは、結果的に頭の中の情報を整理することにもつながります。

伝えるべき物事の本質と、その構文を考えることができるWEBデザイナーであれば、それらを考慮したデザインを作りますが、それらを意識していないWEBデザイナーは、アートさながらユーザビリティも構文も無視したデザインを作ります。

その結果、一体何をどうしたいのか全くわからない『目的不在のデザイン』が完成です。

クライアントは、当然そういった設計上のうんちくは説明されない限り知る由ももありません。デザインの雰囲気さえ良ければなんとなくOKを出してしまい、その結果、ユーザビリティも構文も無視したサイトへとひた走ってしまうのです。

WEBデザイナーの環境と成長曲線

折れ線グラフ

WEBデザイナーのような専門職のスキルアップは、本人のやる気を除けば、その環境が各々でちゃんと考えることができる環境であるかどうかによって大きく変わってきます。

例えば、分業制であっても、なくても、会社にサービスの質を重視するポリシーがあれば、必ずメンバーの成長を促すためのマネジメントとクオリティチェックをする仕組みを構築しているはずです。そういったクオリティへの取り組みが、WEBデザイナーや他のメンバーに気付きを与え、学習の機会になるのです。

そこで重要になるのがWEBディレクターなのです。

先述のようにWEBディレクターは、WEBデザイナーをはじめとするメンバーの知識不足をカバーし、クオリティを担保する装置として機能し、またメンバーの成長を促す装置としても機能しなければなりません。しかし、残念なことに然るべきスキルと経験を持つWEBディレクターがいない場合がしばしばあるのです。

どういうことかと言うと、WEBディレクターという役職の人間はいるにはいるのですが、彼らは実のところ、『WEB業界で営業の経験をしてきた者たち』であることが少なくないのです。

詳しくはこちらの記事を参照

彼らは本質的に営業マンです。従って、技術的なマネジメントもクオリティチェックもできません。なざなら知識がないからです。そして、そういった環境におかれたWEBデザイナーは、気付きを得られる機会がないため、成長が鈍化するのです。

本人に『これで食っていく』という意識がある、もしくは単純に能力が高い人であれば自発的な情報収集と学習でスキルアップが望めます。そういった人は、ある程度のスキルを得たタイミングで適した環境にも移ることができるでしょう。

しかしそうでない方は、単純流れ作業を助長する環境の中でひたすら目的不在のデザインを作り続けるボットのような存在になりがちです。

まとめ

新入社員にとって会社の当たり前が本人の当たり前になるのと同じように、分業制は未成熟なWEBデザイナーにとって思考停止装置として働いてしまう側面があります。

しかし、それは分業制や会社が悪いわけではなく、結局「本人の能力が低い」というところに帰結します。

なぜかと言うと、将来的な目標や自己実現像がはっきりしている方は、やはり成長意欲が高いため、閉鎖的な環境下でも情報収集と学習を行い、やがてステップアップのための環境へと移るからです。

しかし、『とりあえずWEBデザイナーやってます。いつまで続けるかわからないけど。』みたいな人は、往々にして無知なことが多いのですが、こういった人が考えるための知識を持たないまま、有意義な経験を得にくい環境に入ってしまった時点で、本人が意欲的に学習しない限り、業務で得られる経験と情報が極めて制限されるため、成長は見込めません。

WEBデザイナーに限らず専門職は日々情報を更新し、学習していける余地があります。スキルアップするのもしないのも自分次第です。僕はこれがこの仕事の良いところだと思います。

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著者:TAKAGI KUNIO

WEBデザイナー歴8年。フリーランスのWEBデザイナーです。

ワードプレスでのサイト制作を得意としています。

丁寧・シンプル・整然をモットーにWEBサイトの開発をしています。ユーザー心理に則った感覚をフィードバックし、合理的なUIを提案。クオリティの高いデザインを提供します。

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